ペットさんにマイクロチップを挿入しよう!

1.マイクロチップとは?

個体認識のために体内に米粒ほどの機器を挿入するもの。最近は個体管理の観点からペットショップやブリーダーさんで挿入してくれているところもあるようです。

マイクロチップがすでに入っている時もあるので、ペット購入時(引き渡し時)の書類を確認しよう。わからない時はリーダー(読み取り機)を持っている獣医さんに確認しよう。

ちなみに後述にもありますがエキゾチック(フェレットさんなど)アニマルは海外のファームから輸入してくるのでほぼ100%マイクロチップが購入時に入ってます。(自家繁殖している時は確認が必要ですね)

2.マイクロチップを入れてもペットの体に害はないの?

生体に反応しないもので外側のカプセルをコーティングしてあるので大丈夫です。

通常首の後ろから肩甲骨の間に挿入します。挿入する位置がずれてしまうと少し動いてしまったりすることもあるようなのでかかりつけの獣医さんに相談しましょう。

3.マイクロチップはどうやって入れるの?

少し太めの注射針で挿入します。挿入するにはインジェクターという器機をもちいて獣医さんに挿入してもらいます。基本日帰りの処置になりますが、マイクロチップが落ち着くまで激しい運動を控えたり、一時預かりが必要の動物病院もありますのでご確認ください。

4.マイクロチップ自体は、どういう仕組みになっているの?

マイクロチップのリーダー(読み取り機)から出る電波を受け取ると、マイクロチップ自体が持っている情報(個体識別番号)を読み取り機に送るようになっています。あくまでマイクロチップは番号なのでAIPO(動物ID普及推進会議)に認証以来の連絡をすると、事前に登録しといた飼い主様情報を知ることができます。登録内容は海外に引っ越した時も変更可能であること、マイクロチップ自体が電池などを必要としないため半永久的に使用できます。

1) 災害時の避難生活に備えて:

東日本大震災のときに多くの動物が保護されました。この時に活躍したのがマイクロチップです。きちんと挿入していた方は時間がかかっても必ず飼い主さもにペットさんの情報が届くのはもちろんのこと、実際避難するシェルターに入れるかどうかも、個体識別ができるペットさんのほうが優先的にはいれたとのことです。関東大震災のような地震が起きた時は、東京都内だけでも50万頭以上のペットが避難をしいられるとの報告もあります。同じ模様、同じ犬種という情報だけではとても愛するわが子(ペット)を探し出すことは困難と思われます。

2) 動物保険割引適用の案内:

アニコムさんをはじめとする一部の動物保険会社さんでは、マイクロチップを入れているペットさんへの割引優待制度があります。

3) 逃走時や、迷子になったペットさんの発見:

江戸川の花火やお祭り、避暑地への旅行の時に急に行方不明になったり、ドッグランやレジャーランドにて迷子になったとのお話をよく聞きます。当院では江戸川の篠崎公園ドッグランにて迷子になっていたワンちゃんがマイクロチップにて、保健所におくられずに、すぐ当院にて1-2日預かって飼い主様に連絡がついたという実例がありました。

どんなに気を付けていても逃げたり、行方不明になることはあります。万が一の時に備えて予防線をはっておきましょう。

4) 海外旅行に備えて:

海外へ渡航するときにペットを連れて行きたいとか、海外永住時など、動物さんが飛行機に乗ったり、外国に入国するときはマイクロチップが必要となります。マイクロチップこそがペットのパスポートのような役割をしてくれます。海外にペットを連れて行く予定がある方は特に、事前にかかりつけの獣医さんに確認するようにしましょう。

最近では、花火の時などの雑踏に紛れて、動物さんを連れ去られる(おそらく外国人窃盗団?)事件も発生しているようです。出国の際には必ずマイクロチップに情報が記録として残りますので、行方を探すうえで役に立ちます。

5) その他:

確固たる情報や個体識別が必要な時にそなえて一生に一回でいいので、マイクロチップを入れておくと安心です。

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ペットの歯周病対策、処置、予防

1. 歯周病?口腔内疾患が考えられる場合の行動(しぐさ)

→以下の項目に当てはまる動物さんは要注意です。

口腔内からの出血、鼻出血(鼻血)

よだれ(流涎)

頬や下顎の腫脹(はれている)か、膿を出している。

食事中に突然奇声をあげる。

口を開こうとしない。口の周囲を触られるのを嫌がる。

口臭がある。口が臭い。

歯や顎をガチガチ鳴らす。

軟らかいものしか食べない。

2. 歯垢とは

食べかす(残渣)と唾液中の糖タンパクが歯の表面にくっつき(ペリクル形成)そこに口の中のグラム陽性菌が定着し増えていったもの。

歯垢中の虫歯菌が厚くなり、歯垢となった結果、空気(外気)と遮断されるため、通常空気があるところでは増えない病原菌(グラム陰性桿菌)が増えていって歯肉炎を起こす。(バイオフィルムの形成)

ポケット内で菌が増殖する。歯肉炎が放置されると歯肉の退縮(アタッチメントロス)、歯槽骨の吸収、歯列異常、不正咬合などがおきる。

3. 予防歯科の処置

予防処置(歯石・歯垢除去):歯の表面?歯肉縁、歯肉縁下(歯周ポケット)の歯石を除去すること。スケーラー(超音波機器や用手法)がある。

1)ルートププルーニング:

歯周ポケット内の歯の根面の汚染セメント質をキュレットスケーラーを用いて除去すると、セメント質にできた凸凹を除去して、滑沢な根面を残すように行う。

2)キュレッタージ(歯肉炎の掻把):

キュレットスケーラーを用いて、歯周ポケット内の歯肉壁(炎症部位)を除去すること。歯肉を根面に密着させて再付着させるために行う。

3)ポリッシング(歯面研磨):

スケーリング後の歯面の傷(ザラザラ)をブラシやラバーカップ(ゴム)を用いて、できるだけ滑沢な面にすること。次回歯石が付きにくくする。

4)洗浄:歯周ポケットや口腔内に歯石が残らないように生理食塩水で洗う。

5)ホームケア:(これがけっこう大事なんだよなぁー)

歯ブラシやガーゼ、フィンガーブラシなどで歯垢除去(ハミガキ)をすることが最も効果的である。動物さんがハミガキを嫌がるなど協力的でない場合は口腔内洗浄液(アクアデント)やジェル(マキシガード)、歯石を取るフード(t/d)や歯肉炎の抗体を作るフード(ドクターズダイエットシリーズのプロピゲンPG)の使用を考える。

硬い生皮やヒズメ、骨、プラスチック、金属さらに一部のゴム、玩具(おもちゃ)、スナックは歯を破折させたり、摩耗させたりするので注意が必要である。

4. 歯の対象に関して

歯周ポケットが5mm以上ある、動揺(歯がグラグラ)ている時は抜歯の対象となる。

犬や猫は人間と異なり、歯の咬哈面が水平方向にかかるため、歯肉治療や補てん(つめもの)はとれてしまうことが多く。その都度全身麻酔になるため好ましくない。

歯は歯槽骨とくっついてる靭帯をエレベーターではがして脱臼させることで抜く。

臼歯のような多根歯の場合は単根に分割してからぬく。

抜歯窩(歯を抜いた後の穴)は、ラウンド鋭匙などで掻把、洗浄し必要に応じて抗生物質や骨補填材などで注入し、吸収性縫合糸(当院ではPDS?を使用)にて、抜歯窩を閉鎖する。残根、顎骨骨折、口鼻瘻管、ドライソケットなどにならないよ細心の注意をはらっています。

5. 交叉咬合(クロスバイト)

顎の長さと幅の不一致(骨格性不正咬合)、歯の位置異常(歯性不正咬合)あるいは両者により生じる。

1)前方(吻側)交叉咬合(オーバー)

いわゆる出っ歯。乳歯遺残や下顎の幅が狭い犬種に比較的多い。

2)後方(尾側)交叉咬合(アンダー)

コリー、アフガン、ボルゾイなど長頭種に遺伝性にみられる、いわゆる受け口。顔面への外傷が関与することがある。

6. 乳歯遺残

通常、永久歯が刑されると乳歯の歯根は吸収されて脱落する。乳歯が脱落せずに永久歯と共存して2週間以上たつと不正咬合が生じる。

7. 口内炎

猫では口内炎がひどくなって歯周病を引き起こすことがある。犬では免疫の異常(免疫介在性疾患)で潰瘍のような口内炎になることがある。

8. 猫の口内炎

口腔内細菌の日和見感染や猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスおよびカリシウイルス感染など複数の要因によって発症することがある。

猫の破歯細胞性吸収症候群(FORL,ネックリージョン)

もともと歯周組織に存在する破歯細胞によって歯質が崩壊され、かつ硬組織によって置換されること。感染がなければ歯質が消失し骨組織に置き換わり病態は終結する。(それ以上悪さはしない。)

感染があるときは疼痛、片側性に噛む、歯ぎしり?食欲低下、よだれ、口臭などを引き起こす。治療方法は歯冠切除?抜歯である。

9. 破歯細胞性吸収病巣の病態別分類:

ステージ1:歯頸部や根分岐部の発赤や腫脹がみられ、エナメル質やセメント部の浅い損傷がある。

ステージ2:プローブング時にエナメル質やセメント質をわずかに穿孔し象牙質に病巣が及んでいる。

ステージ3:プロービングジに歯髄からの出血がみられる

ステージ4:歯肉の隆起がさらに拡大する。レントゲン上では歯髄腔は不明瞭になる。歯髄膜と歯根が骨製癒着(アンキローシス)している。ステージ4で抜歯が困難な時は歯冠部のみ切除して歯肉を縫合することがある。

ステージ5:レントゲン上では、歯根が存在した部位が歯槽骨と同様な透過性となる。歯質が肉眼で認められない状態。歯冠部が確認されれば切除し、骨縁を平滑にして歯肉を縫合する。

10. 歯瘻(しろう):

歯が化膿して口腔粘膜と皮膚との間に交通路が生じたのもの。

内歯瘻:口腔内に排膿するもの。人や犬で多い。

外歯瘻:根尖膿瘍が原因で口腔外(頬などの皮膚や鼻腔)に排膿するもの。犬に多い。腐骨、抜歯後の不良肉芽、嚢胞における感染?埋没歯などにより生じることもある。歯を抜いても瘻管が落とし穴のようになってふさがらず、蓄膿のようになることがある。

11. ペットの痤瘡(アクネ):

ケラチンや皮脂腺の内容物が真皮内に放出される結果、毛包内に細菌感染が生じて炎症を引き起こし細菌性毛包炎となったもの。進行するとかゆみを生じる。尾に発生するものはスタッドテイルという。

毛包虫症(ニキビダニ)や皮膚糸状菌(マラセチア)が原因の時はそれらに応じた治療が必要。クロルヘキシジン(ヒビテン)、サルファ剤(ノルバサンシャンプー)、マラセブシャンプーなどで週2-3回洗浄する。

12. 咬耗:

加齢とともに生じる生理的咬耗と不正咬合を伴った歯列で噛むことで生じる病理的咬耗、石やおもちゃ、ケージなど硬いものをかむことにより生じる咬耗がある。

エナメル質や象牙質が摩滅する(すりへる)ことで露髄している時は歯冠修復や歯内療法が必要である。

13. 破折:

最も歯折しやすい歯は犬では犬歯、上顎弟4臼歯および切歯が、猫では上顎犬歯が多い。内部歯髄が見えている状態を露髄という。肉眼で露髄している時、時間経過が少なければ出血がみられるが、時間がたったものは黒く見える。

露髄すると歯髄縁や骨髄壊死、骨髄炎や敗血症になり命にかかわることもあるため破折れ後24時間経過していない時は抜髄や抜歯してしまったほうがよい。

14. 齲蝕(うしょく、虫歯)

歯垢中の細菌は炭水化物を発酵させ(有機)酸を産生する。

この(有機)酸が歯質を溶して局所的に崩壊(穴が開く)させる。この口腔内は犬猫ではPH8.0とアルカリ性で(人ではPH6.5)、唾液中にアミラーゼが含まれないため、口の中での発酵が起こりにくく、虫歯自体は人より少ない。猫ではさらに稀である。

虫歯になったら歯は抜けばいいというのものではありません。天然に勝る歯や処置は存在しません。どうしよう?と思った時は考え込むのではなく、まずはお気軽にご相談ください。

ワクチンなどで予防できる病気(猫編)

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1. ワクチンで予防できる病気(猫編)

1)猫汎白血球減少症(猫伝染性腸炎)

2)猫ウイルス性鼻気管支炎→後述の猫伝染性呼吸器感染症参照

2. ネコ伝染性呼吸器感染症(猫かぜ)とは?

1)どんな病気?

ネコ伝染性呼吸器感染症とは、猫の風邪のようなものです。原因として、ヘルペスウイルスとカリシウイルスのウイルス感染によるものと小さな細菌のクラミジアのよるものがあります。この3つの感染症は症状がよく似ているうえ、混合感染も多いので、臨床的にはっきりとは区別できません。

2)どんな症状?

1、猫ウイルス性鼻気管支炎:ヘルペスウイルスによる感染症でひどいクシャミ、咳、鼻炎などの呼吸器症状のほか、結膜炎をひきおこします。高熱で食欲はなくなり、鼻水と涙で顔中クシャクシャ、典型的な風邪の症状が見られます。

2、猫カリシウイルス感染症:

かかりはじめはクシャミ、鼻水、発熱など、猫ウイルス性鼻気管支炎に大変よく似ています。症状が進むと、舌や口の周辺に潰瘍ができることもあり、また、ときには急性の肺炎を起こして死亡することもあります。

3、猫のクラミジア病:

クラミドフィラフェリスという細菌による感染症です。菌は目や鼻から侵入するため、結膜炎、鼻汁、くしゃみ、セキがみられます。肺炎を起こすこともあります。人に感染して結膜炎が起きた例も報告されていますので、特にお子さんのいる家庭は気を付けてあげてください。

3)予防はどうすればいいの?

これらの感染症にはワクチンがあります。1番の予防法はワクチンなので、感染する前にワクチンをうっておきましょう。

4)治療

現在のところこの病気を治す特効薬はありません。現時点での治療法としては、抗生物質による二次感染防止、補液による体力回復など対処療法がメインになってきます。また、ウイルスと戦ってくれる薬であるインターキャット療法もあります。

猫カゼといっても命取りになることもあります。これらの治療を組み合わせて一日でも早く治してあげましょう。

4. 猫白血病ウリルス感染症(FelV)

東京都内の病院を訪れる猫白血病ウイルス(FeLV)の抗体保有率は5-10%である。猫同士のケンカによる咬傷、グルーミング、トイレの共有を通じ感染する。

経口、経鼻感染したウイルスは口腔咽頭リンパ節(喉のリンパ節)に侵入し、2-4週間で脾臓や骨髄に達する。急性期には発熱、元気消失、白血球減少症、血小板減少症、貧血などの症状を示し、これらをのりきると持続感染状態となり、3年位以内に死亡するものが多い。

持続感染期には二次感染、血液感染、免疫介在性疾患や、腫瘍疾患(ガンやリンパ腫)になったりする。FeLVに対する特異的治療は存在しないため、抗ウイルス作用を期待して猫にインターフェロン(1MU/kg)を連日皮下投与するほか、対処療法として輸血や化学療法(抗がん剤)などが必要になることがある。

最大の予防は感染源(感染猫)との接触を断つことである。同居猫がすでに感染している時は、ほかの疾患の予防(猫カゼワクチン)をしっかり予防しFeLVワクチンを年一回うつことが進められる。

5. 猫免疫不全ウイルス感染症(FIV)

主に咬傷(唾液)を通して感染する。幼若動物では、細菌性腸炎や、肺炎で死亡することもある。

成猫の場合:口内炎、猫カゼ、皮膚炎、外耳炎、腸炎(下痢)、膀胱炎(尿路感染症)、デモデックス、疥癬(かいせん)症、神経書状の他、貧血、汎白血球減少症、免疫不全による日和見感染や消化器型リンパ腫をはじめとする多くの悪性腫瘍を引き起こす。

人のエイズと同様に無症状キャリア期→持続性全身リンパ節腫大(PGL)→エイズ

関連症候群→後天性免疫不全症候群(AIDS)へと移行する。

予防は感染源との接触を断つこと。米国で販売されているFIVワクチンがあるが、野外株ウイルスに対しての防御は完全とはいえない。

6. 猫伝染性腹膜炎(FIPV)

もともと弱毒株の猫コロナウイルス感染症(F.cov)が一部の猫の体内で突然変異をし、強毒株性の猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)が発生する。感染猫からはクシャミ、鼻水、咬傷などにより経口、きゅにゅうにより感染をし、初期は発熱、おう吐、下痢、脱水症状を起こしやがて以下のドライタイプとウェットタイプの症状をおこす。

1)ドライタイプ:脾臓をはじめとする内臓、腸間膜リンパ節の腫大、腎臓の変形、CNS(中枢神経症状)や眼に腫瘤(化膿性肉芽腫)形成し、けいれん発作や消化器症状、角膜浮腫やブドウ膜炎を引き起こす。

2)?ウェットタイプ:2型アレルギーによる血管炎がおこり、腹水貯留により呼吸困難、心嚢液浸出による心臓発作で死に至る。FIPは貧血、血漿タンパク濃度の上昇、ポリクローナルガンモパシーなどの検査にて診断されるが、有効な治療法がなくインターフェロンやステロイド(免疫抑制)、輸血、強肝剤、酸素吸入などの対処療法しかないため完治はせず死に至る。

7. 猫の犬糸状虫症(フィラリア感染症)

フィラリアに感染したかに吸血されると感染する。フィラリアに感染するとぜんそく発作、血栓塞栓症(血栓症)、目や脳に迷入すると失明やけいれん発作を引き起こす。

犬と異なり、ミクロフィラリア血症(腹水貯留)にはならないが、肺動脈や心臓の弁にからんでしましい不整脈は心臓発作のよる突然死をおこす。

感染してしまうと、犬糸状虫の成虫が寿命で死ぬまでの2-4年間継続的な治療が必要になる。

東京都、千葉では10頭に1頭の猫がフィラリアに感染していたとの報告があります。(ファイザー犬糸状虫研究会、抗体価調査)

「家の中にいるから大丈夫」ではありません。毎年しっかり予防しましょう。

ワクチンで予防できる病気(犬編)

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1、ジステンパーウイルス感染症:元気消失、食欲低下、発熱ともに呼吸器症状(鼻汁、咳、異常呼吸)、消化器症状(下痢や嘔吐)、神経症状(顔面のけいれんやチック症状、間代性硬直性けいれん)がみられる。

抗ウイルス薬はなく対処療法しかない。人のインフルエンザ脳炎(小児インフルエンザ)

のように髄膜脳炎?神経症状の後遺症を残すため安楽死になることもある。

2、犬伝染性肝炎:

発熱、虚脱、腹痛、消化器症状(嘔吐、下痢)、角膜混濁(ブルーアイ)を起こし、慢性肝炎になる。DICをおこした時は輸血が必要になることがある。

長期間にわたり腎(尿)からウイルスを排泄するため周りの犬にも伝染する。

3、レプトスピラ感染症:海外動物からの感染例が増えている。ネズミよりうつる。

1)甚急性型:敗血症、DIC症状などショック症状にて多くの場合が死に至る。

2)亜急性:1の症状に加えて腎不全、肝不全、黄疸、舌壊死などの症状を引き起こすもの。

3)1,2より生き抜いたものは保菌者となり、排菌をする。人にも感染するため、届出が必要となっている。

4、犬パルボウイルス感染症:生後3-8週令では心筋炎型にて心臓発作を起こし突然死に至ることもある。8週令以降では腸炎型にて血便、白血球減少症(免疫低下)がみられる。早期に適切な治療を行わないと脱水症状でなくなることもある、こわーい病気です。

5、犬コロナウイルス感染症:単独感染での死亡率はきわめて低いもののほかのウイルス感染症や寄生虫、細菌などと混合感染した場合は重症となって入院治療が必要となることがある。

6、犬パラインフルエンザウイルス感染症:犬の伝染性気管気管支炎(いわゆるケンネルコフ)の原因となるウイルスの一つ。上部気道炎、発熱、発赤、鼻水などの症状を示す。他のウイルスと混合感染すると死に至ることもある。

ペットの避妊・去勢

「避妊、去勢手術は本当に必要でしょうか?」

「元気で健康な状態に麻酔をかけたり、手術をするのがかわいそう」

というお話をよく聞きます。

1.動物病院が避妊去勢を勧めるのには理由があります。大きく分けると以下の3つです。

1)?避妊、去勢をしたほうが1ー2年長生きする。→実際フェレットさんは避妊・去勢をしないと重度の貧血をおこして1-2年で亡くなってしまいます。

2)、 病気が予防できる。→後述の予防できる病気参照。

3)、 繁殖や性周期に対するストレスが減る。→簡単に言うと体調不良や気分のむらが減ります。

大事な家族のことなので、よく話し合って予防的に避妊去勢をするのか考えてみてください。

2.女の子が予防できる病気

予期せぬ妊娠、卵胞嚢腫(多発情、偽妊娠)の予防

出産は大業です。妊娠中毒、産褥テタニー(低カルシウム血症)、場合によっては母子ともに危険にさらされることがあります。

また不慮の妊娠で堕胎や帝王切開ともなると手術代だけで8万?16万(2013年東京都における料金、地方や病院によるので各自問い合わせが必要です)かかることになります。

交配を考えているなら生殖能力のある2?3歳までに計画的な繁殖、交配(お嫁さん、お婿さん探し)を、ただし交配相手によっては、病気をもらってしまったり、治療費、帝王切開代、生まれた子の親権問題など、後々トラブルになることもございますので慎重に話し合いをしたほうがよいと思われます)交配を考えていないなら2?3歳までに避妊・去勢手術の相談をされることをお勧めします。まずはお気軽にご相談ください。

1)、子宮蓄膿症(子宮粘液症):

子宮の中で大腸菌などが増えてしまい、細菌が出す毒素にて多臓器不全(不整脈、腎不全、肝不全)や、DIC(出血傾向-失血死)にて死に至ります。陰部から膿が出る、臭いなどの症状が見られたら、かかりつけに相談しましょう。

2)、乳腺腫瘍(乳がん):

人間と同様に早期に乳腺を切除しないと肺がんになり死に至ります。犬、猫さんは乳腺が左右合わせて6-8個あるので2つしかない人間よりも広範囲の切除が必要になることもあります。また乳腺腫瘍は犬では50%、猫では90%が悪性です。残っている乳腺に対しても抗がん剤を使用したり、定期検診が必要になることもあります。手遅れになるといけないので、胸やお腹にしこりができたら早めにかかりつけに相談しよう。

3)、卵胞嚢腫(多発情)の予防

3.男の子が予防できる病気

1、会陰ヘルニア:

肛門まわりのお尻の筋肉がおちて、そこに腸が飛び出てしまい、排尿困難になったり、排便時に痛みがでて便秘になったりする。

2、肛門周囲腺腫:

もともと肛門の周りに便ににおいを付けるにおいぶくろ(肛門腺と、皮脂分泌腺)があります。この部分が腫れてしまう病気。肛門周りのデリケードゾーンに腫瘍ができてしまうため、時に、肛門周囲腺癌(がん)になってしまっていることもあるため、良性か悪性か確認するため、手術で取り除かないとならないことが多い。

3、スプレー行動、不意の家出:

オスは縄張り意識が高いためにおいつけ(スプレー行動やマーキング)、見回りをしたり、時にケンカしたりけがのもとになります。メスも同様に気分のむらでイライラしたり、家の外に出てみたくなったり「よなき」します。時にご近所トラブルも起こしかねません。

4、前立腺肥大(AD):

男性ホルモンが出続ける関係で、尿道を囲んでいる前立腺が大きくなってしまい排尿障害がおきる病気。残尿感、排尿痛のためペニスの先端のなめこわしが起きることもある。すでに大きくなった前立腺は、切らない限り小さくなることはない。それ以上大きくならないように早めの去勢が必要となることが多い。

ズーノーシスの定期駆虫の案内(SFTSにかからないようマダニ予防しよう!)

・人畜共通感染症(ズーノーシス)とはペットから人の感染することのある病気です」。犬、猫、フェレットに寄生する内部寄生虫は人に感染した場合重篤な症状(嘔吐、下痢、肝不全、腎不全)を起こすこともあります。

・何年か前にはやったエキノコックスや、マダニによる感染症(SFTF)がこれに当たります。

・毎月または、年に2-4回錠剤もしくはスポット(滴下)剤を使用しておなかの虫を駆除することで人への感染のリスクを防ぐことが目的です。

・以下のようなスキンシップをされている方は特に気を付けましょう。

1、カワイイからキスだって当たり前。

2、いつも一緒の布団で寝ている。

3、スキンシップの後も手を洗わない。

4、口移しや自分のお皿やお箸でご飯をあげている。

ペットの熱中症対策

・夏は暑いです。ワンちゃんを散歩に連れて行ったり、猫ちゃん、フェレットさんを抱っこしたりするとあついなー。。。汗をかくなー。。。などと感じると思います。

・動物さんは基本的に人間の赤ちゃんと同じです。室内飼いだと熱いと思っても窓開けたり、クーラーをつけたりできませんので、なるべく飼い主様が環境を整えてあげることが必要となります。

・いくつか気を付けていただきたいことを下に記します。よかったら参考になさってください。

1、運動や散歩は涼しい時間にしましょう。

・太陽が昇るとどんどん地面の温度が上がります。日中のアスファルトは暑い砂浜と同じです。足(パッドの裏)焼けて向けてしまったり、地面からの照り返しにて過呼吸(ハァハァ)なったりします。小さいころ運動会や体育の時間に倒れたり気分が悪くなったお友達はいませんでしたか?

・動物さんもなるべく涼しい時間に運動や散歩してあげられるといいですよね。

2、お留守番の部屋は快適に。

・しめきった部屋、直射日光があたる部屋でのお留守番は避けましょう。お部屋に遮光カーテンやエアコンをつけたり工夫をしましょう。

・お水もたっぷり用意してあげるとよいにですが、こぼしてしまうときはお皿に氷の塊をのせておくと時間経過につれて溶けてお水になったり、そのままなめて熱さましの効果もあるので好都合ですよね。

3、車に放置は危険ですので、一緒に車から降りましょう。

・お車で移動するときは原則として一緒に連れていってあげましょう。

・最近はドッグラン併設のパーキングや一時預かり併設のレジャーランド(ディズニーランドなど)も増えています。やむを得ず車に残すときはエアコンを必ずかけて5-10分おきに状態を確認してあげることが必要です。

・長距離の移動は乗り物酔い(酔い止めでもきかない子もいます)やおしっこを我慢して膀胱炎になることもありますので、ペットホテルに預けたほうがいいのかどうか、かかりつけの先生に相談してみるほうが良いと思います。

4、熱中症になってしまったら

・まずは病院に連絡しましょうとりあえず冷水をかけたり、体を冷やすという行為は時として危険です。

・冷水をかけると体表の温度は下がったように思えますが、実は体の熱を外に逃がす毛細血管を閉じていしまうので体の内部の温度があがりつづけてしまい、死に至ることもあります。冷風をあて続けるというのも同様に危険です。

・もちろん、熱中症にならないよう予防することが大事ですが、病院側からみると熱中症自体がよくあることですので、少しでもおかしいなと感じたら、早めに獣医さんに確認しましょう。

5、特に、以下に当てはまる人は要注意!!!

1.短頭種である。(フレンチ、パグ、、シーズー、イチワワ、ペキニーズなど)

2.長毛種である。(チンチラ、ノルウェージャン、メインクーン、ペルシャなど)

3.少し、いやかなり太り気味(メタボリクス)である。

4.高脂血症(脂質代謝異常症、シュナウザーなど)の種類である。

5.心臓病、気管虚脱(コラプス)、腎不全、糖尿病など脱水傾向(血液がドロドロになる)になる持病(既往症)がある。

6.足が短い(ダックス、フレンチ、パグ、マンチカンなど)ため地面に体が近い。

7.熱い地域への引っ越しや旅行の予定がある。

8.飲み皿、給水ボトルが気が付いたら空になっていたことがある。

9.お留守番の時、冷房や扇風機をかけない時がある。

10.日中お出かけや、散歩することが多い。

11.車で一緒にお出かけすることがある。

12.うちの子はアスリートなのでドッグランでたくさん遊ばせることがある。

ペットの誤食(誤飲)

・家族と同じ部屋(リビング)や散歩道(特に花火やお祭りの日)、ドッグランには危険がいっぱい。どんなに気を付けているつもりでもついつい飲み込んでしまうことはあります。

・動物さんが食べてしまうと危険なのもののリストを下に書いておきます。万が一食べてしまったときは無理に出そうとはせずに、その場で動物病院に連絡しましょう。

・かかりつけがお休みや夜間だからといって翌日までまつかたがいますが、危険です。早期に治療しないと命を落とすこともありますので、近隣の病院や夜間病院を利用しましょう。

・また、自宅ではかせようとする行為は非常に危険です。動物さんは人間の赤ちゃんと同じです。無理をしないで専門家に相談しましょう。

1,糸やひも状のもの

2,ゴムまたは、ゴムボール、おもちゃ、ぬいぐるみ

3,人の医薬品(バファリンで猫は死んでしまいます)、化粧品、日焼け止め

4,竹串(焼き鳥の串)、画びょう、アイスの棒、針

5,保冷剤、たばこ、乾電池

6,靴下、タオル、お父さんのTシャツ、カーテン、ティッシュペーパー、ボタン、

7,ヒヅメ、ガム

8,観葉植物(ユリ、ポインセチア、シクラメン、チューリップ)

9,人の食べ物(おかしら、マヨネーズ、生クリーム、チョコレート、焼き肉のたれ(にんにく、玉ねぎエキス)、ポテトチップス

フェレットさんの病気

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ジステンパー

・高熱、咳でのイメージが強いがフェレットさんの場合食欲不振、元気がない、ハードパット(肉球が固くなる)などの症状で来院することが多いです。

・フェッレットさんはもともと人間のインフルエンザのための実験動物として使用されていたので人間のインフルエンザがうつりやすいのです。

・感染者がいたらまず安全なところにフェレットさんを映す(隔離する)が必要です。

・多頭飼育は特に要注意!他のフェレットさんとの接触も避けたほうが無難です。

胃潰瘍?緑色下痢症

・ヘリコバクターが原因。吐き気、黒色便を示す。抗生物質(メトニダゾール+アモキシシリン)で治療する。後述の異物との見分けが必要です。

異物

・フェッレトさんは床に近いところを移動するため、知らず知らずのうちに、ほこりや髪の毛などを飲み込んでします機会が多いです。

・若いうちは猫用の毛球緩下剤(ラキサトーン)や水分補給で回復することもありますが、繰り返し飲み込んでいるとぐったりする、食欲が落ちるなどの症状をおこし、手術(胃切開、腸切開)が必要になることが多いので要注意です。

・おかしいなと思ったら病院に連絡しましょう。初期ならバリウムなどで異物を流してしまいましょう。

好酸球胃腸炎

・はっきりしない胃腸炎を繰り返す。ステロイドで症状が改善するが障害治療が必要となる。後述のリンパ腫との鑑別が重要となります。

リンパ腫

・症状は元気消失、食欲低下で来ることが多い。リンパ球が増加、縦隔や腸管、脾臓に腫瘍(肉腫)ができる。基本的にステロイドや抗がん剤で治療する。外科的切除は腸閉塞や狭窄がひどくて必要ならば補助的に行うこともある。

巨脾症(脾腫)

・フェレットさんではよくみられる症状です。通常血液は骨髄にて作られるがフェレットさんは髄外造血と言って脾臓で血液を作ることがあるからです。

以下のものとの鑑別が必要です。

1、リンパ肉腫

2、胃腸疾患

3.心筋症

4、血管肉腫

5、アユーシャン病

6、脱毛

・不妊・去勢済みなら95%が副腎腫瘍。尾っぽだけなら、季節性脱毛(夏から秋にかけて)や脊索腫(良性の腫瘍)のことも多い。

インスリノーマ(B細胞アデノーマ)

・副腎腫瘍と併発することが多く睡眠が深くなり、動きが緩慢になり、発作(特に空腹時)を起こすこともある。食事を糖分ではなくタンパク質中心に切り替える、手術で一部?全部切除するなどの治療がある。

副腎腫瘍(クッシング)

・フェレットさんでは脳(下垂体性)ではなく、副腎ホルモンが副腎(末梢)から以上に出てしまう病気。脱毛、皮膚、かゆみ、皮膚が薄くなるメスの外陰部腫脹、乳腺の発達(雌性化)オスの尿道閉塞(前立腺肥大)を起こす。

・外科的切除よりもリュープリンなどのホルモン抑制剤で治療することが多い。

外耳炎

・耳ダニが原因のことが多い。耳掃除+セリューマイトやレボリューションで治療する。

ミンクのアリューシャン病

・ミンクでは腎臓や動脈炎を起こすことがフェレットでは症状を示すことがまれで、体重減少?削痩、後肢麻痺、震戦(ふるえ)を起こす。確定診断はPCRによるが効果的な治療法がないのが残念です。

ブルーフェレット症候群

・内分泌(ホルモン)の関連で発毛時に皮膚(毛嚢)が青くなること。かつては病気と思われていたが、病気ではないため特に治療も必要ない。

犬糸状虫症

・右心室、肺静脈にフィラリアが入るとフェレットさんは心臓が小さいために犬より症状が重く、発咳?気管支炎、腹水、肝腫大または突然死する。

・予防薬は、消化時間が短い動物なので錠剤やチュアブル(お肉タイプ)では吸収不良になることもあるため、粉剤や滴下薬のが適していると思われる。

尿石症

・ドライフルーツなどのおやつばかり食べているとストラバイト結晶ができ、膀胱炎になることもある。